■■■■■ 長柄武器の構成・部位の解説 ■■■■■
●スピアーヘッド | spearheads | / | 穂先・鎬 |
●スパイク | spike | / | 刺先 |
| | | | ●フルーク | fluke | / | 錨爪 |
| | | | ●アックス・ブレード | ax blade | / | 斧刃 |
| | | | ●ピーン | peen | / | 刺端 |
| | | | ●ラグ | lugs | / | 突端 |
| | | | ●ソケット | socket | / | 口金 |
| | | | ●ランゲット | langet | / | 柄下 |
| | | | ●ポール・シャフト | pole・shaft | / | 柄 |
| | | | ●バット | butt | / | 石突 |
■■■ スピアーヘッド spearheads / 穂先・鎬 ■■■
長柄武器の先端に取り付けられた殺傷部位全体をさしています。形状は設置される部位によって用途・形状はさまざまに変化し、それぞれの長柄武器を特徴付ける要因となっています。全長が2mを超えるものは基本的に鋭い【スパイク】を備えていますが、長柄武器は柄の長さ自体でも十分に相手を牽制する効果を持つため、歩兵用長槍において柄自体を尖らすことでスピアーヘッドの代わりとすることもできたようです。
刺突に特化したスピアーヘッドは刃先をもった平形のもが一般的ですが、中には円錐で本当に刺突のみに特化した物も存在しました。
基本的に刺突に特化した長柄武器は、柄が長くスピアーヘッドはより軽量に設計されています。複雑な操作が必要がない上に、安価であるため集団で使用することに適しています。
それに対して【フルーク】【アックス・ブレード】【ピーン】等を備えたものは「薙ぐ」「引き倒す」などの複雑な操作が必要となる上にスピアーヘッドの重量も重くなるため3m以上の長い柄には取り付けられません。
スピアーヘッドには実用性以外にも象徴としての意味合いもあり、国や部隊などの集団を表す特徴を備えています。
■スパイク spike / 刺先
全体と水平方向に向いている刺突攻撃を行うために必要な部位で、刺突目的の長柄武器である「槍」類にはスパイクのみで穂先を構成しているものもあります。
特に3mを超える歩兵用長槍においては、穂先をより軽量にする必要があるため、基本的にスパイク以外は備えていません。
長い柄を最大限に活用でき、進行方向の相手と対峙する再には最大の殺傷力を発揮することができます。
■フルーク fluke / 錨爪
全体に対して垂直方向に取り付けられた鉤状の部位で、引っ掛けて切るという鎌などの農具類の特徴を武器に取り入れた機構とされています。
相手に引っ掛けて引き倒すという用途に使用され、特に騎兵を馬から引きずり落とすのに特化したものには穂先をフルークだけで構成するものもありました。
プレートメイルを装備する重装萩R兵や重装歩兵は転倒すると起き上がることが困難なため、フルークによる引き倒しは非常に有効な攻撃手段だったと考えられます。
■アックス・ブレード ax blade / 斧刃
叩き切ることを目的とした部位で、鉾槍などの「斧」類にはアックス・ブレードのみで穂先を構成しているものもあります。
スパイクがなく、アックス・ブレードで構成している斬撃に特化した穂先を「アックス・ヘッド」と呼び、いわゆる「斧」の基本構成になります。
スパイクとアックス・ブレードの両方を備えている場合は「鉾槍」に分類され基本的にハルバードと呼ばれます。また穂先を構成する部位の中では重量があり、バランスをとるためフルークやピーンを反対方向に取り付けられるのが基本ですが、中にはフルークの一部にアックス・ブレードを備えているものもあります。
■ピーン peen / 刺端
全体に対して垂直方向に取り付けられた部位でフルークの機能を兼ねている場合もあります。振り回して突き刺すという「戦鎚」の要素を備え、アックス・ブレードを凌駕する破壊力を秘めています。
基本的にはフルークやアックス・ブレードの反対側に取り付けられています。
■ラグ lugs / 突端
穂先の中でも柄に近い部分に設けられた部位で、穂先がスパイクのみで構成されている場合、相手に深く刺さりすぎることを防ぐ役割があります。また相手からの攻撃を受け止めることに重点を置いた形状のラグはクロス・ガード(cross guard)とも呼ばれます
フルークやピーンなどの部位を備えている場合はそれらを補助するように機能します。
■ソケット socket / 口金
柄に穂先を差し込む部分のことで、筒状になった物を"ソケット"と呼びます。
穂先に向けて水平方向に柄を差し込んで固定するため、スパイクを有する刺突を重視したタイプの長柄武器によく見られる形といえます。
■ランゲット langet / 柄下
穂先を柄に固定する手助けをする板状の部位で、通常は左右両面にあり鋲などを打ち込んで固定しています。
柄を挟みこんで固定できるため横方向の衝撃に強く、鉾槍や斧などの長柄武器によく見られます。
■ポール・シャフト pole・shaft / 柄
長柄武器を長柄武器たらしめている部位であり全長のほとんどを占めています。この柄によって相手をより遠い間合いから攻撃できますが、同時に操作性も大きく左右されます。
基本的に木製であり、途中で折れると長柄武器はその効力のほとんどを損なうため、弾力性に富んだ材質としてイチイやトネリコ等が使われていました。
また、握りの部分に皮ひもをまくなど操作性を向上するための工夫などもされました。
長柄武器を形成するのに最低限必要な部位で、種類によっては柄だけで構成されたものもありました。この場合打撃武器という扱いをすることもあります。
■バット butt / 石突
柄の穂と反対側の部分を指します。何も取り付けられずただ単に柄がここで終わっているだけというものもありますが、通常カップ状の金具で保護されています。
歩兵用長槍など地面に突き立てて騎兵の突撃に対抗するといった使用法をするものは地面に固定できるように短い穂先状をしている場合があります。また穂先を切り落とされるなど破損した際、石突を第二の穂先として活用することもあったようです。
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